OOPARTS岐阜2021 ライブレポート

Cinema Staff 企画の音楽フェスティバル、OOPARTS岐阜を、2日間ともに参加した。

※4/17(土)、4/18(日)の二日間開催


まるまる一年待った。国内のフェスとしては間違いなく最高ランクにエモいバンドをそろえてきたラインナップだっただけに、去年の中止の悔しさはいまだに忘れられない。

 

残念ながら、アメリカのPet Symmetryだけは再び呼ぶことはかなわなかったが、国内組は去年演奏するはずだったアーティストを再度揃え、最高のラインナップをかなえてくれた。

 

それを、文字として記録に残そうと思う。

 

自分が2日間を通してみたバンドは以下の通りだ。

 

初日

My Young Animal → Climb The Mind → LITE → toethe telephones

 

2日目

Shift Control → ナードマグネット → LOSTAGEThe Novembers

 

普通の人なら、夜の本気ダンスとかアルカラとかKEYTALKとかバックホーンとか、なにより企画のCinema Staffとかを見るのだろうけど、自分はかなり偏ったチョイスになってしまった。

 

 

 

初日

 

①My Young Animal

 Cinema Staff 辻さんのレーベルLike A Fool Recordsに所属する、岐阜のバンド。自分はもう何度名古屋で見たかわからない。大好きなバンドの一つ。OOPARTS2021の舞台が、今まで自分がみた中でダントツで大きなステージだった。今までで観た中で一番大きく、そして美しい音で聞けた。改めて、彼らのポストロック的な柔らかい音像と、アルペジオの美しさが味わえた。『drifter』によって、OOPARTSは最高のスタートを切ったと思う。

 

Climb The Mind

 自分が観るのは、全感覚祭大阪2019以来。昨年リリースの傑作『蕾』のリリース後では初めて見た。キラーチューンしかないのか、というような演奏。2曲目でさっそく『ポケットは90年代でいっぱい』を演奏。涙がこぼれた。生で演奏される音楽で涙を流したのは2年ぶりだった。これがフェスの醍醐味である。『歩み』、『つよがり』、『デスマッチ』、そして最後に『ほぞ』。強すぎた。

 

③LITE

 ようやく、生で観ることができた。緊張感がすごかった。拍手も、歓声も、忘れてしまうほど。ただ硬く、強く音を重ねていく。最前列の人たちはずっと体を揺らしている。音楽フェスで観たかった景色が目の前にあった。この翌日に名古屋のstiffslackでLow-PassとLITEでツーマン、というすさまじいライブが予定されていたわけだが、その演奏を前もって見ることができたんじゃないだろうか、自分は。なんと贅沢な時間だっただろう 。

 

toe

 だれからしても、初日の目玉だっただろう。超満員だった。

 山嵜さん一人がステージに立って、何かが始まる。そしてなんと、いきなり『グッドバイ』からスタート。小さくだが、歓声がそこかしこでおこった。こんなことがあっていいのか。震えが止まらなかった。

 『レイテストナンバー』などの曲を挟みつつ、『エソテリック』。その前の曲が終わってからのドラムからもう分かってた。ゾクゾクして、体中が飛び跳ねていた。

 そして最後に『Past and Language』。toeの好きな曲は?と聞かれたら5本の指に入る曲を2つも最後に演奏してくれた。感激の涙。

 演奏が終わっていく。それぞれ皆、楽器を置いて去っていく。その中で一人残ってギターをかき鳴らす山嵜さん。そして、吸い込まれるように音が消えて終わった。

 toeをみたのは、stiffslackのアニバーサリーイベントで、名古屋今池Huck Finnでのワンマン以来。あの時のように、一音一音にエモーショナルを詰めた、そんな演奏を観た。toeが演奏するフェスがあった。それだけでOOPARTS2021は日本最大級の価値があったと言っていいんじゃないだろうか。

 

the telephones

 10代のころ、自分はthe telephonesくらいしか聞いている日本のバンドが無かったといっても過言じゃない。そのころ自分は「レッドツェッペリンとかの70年代洋楽以外を音楽とみなさない」とか言うような痛すぎるティーンエイジャーだった。そんな自分でも狂ったように聞いていたのがthe telephonesだった。ライブを観れたのは学生の時。10年以上前だった。学生には遠征する時間もお金もなかった。

 社会人になり、年を取った自分の目の前にいたのは、あの時と何一つ変わっていないthe telephonesだった。それを聴く自分は10代のあの時のライブを現場で観ていた自分だった。疲れ切っているはずなのに、なぜずっと飛び跳ねれるのか。なぜ腕がずっと上げていられるのか。そんなことを想った。

 「音楽フェスの場にいるときは、誰もが全員子供みたいにはしゃいでいいし、そういう風になるほうが楽しい」って自分は考えてるけど、あの時だれよりも自分が子供だったと思う。幸せで汗だくだった。

 Monkey Disco、Baby Baby Baby、新曲、HABANERO、Love&Disco。新旧織り交ぜたけど、いつだって最高だったthe telephonesが見れたこと。10年以上の自分の時の重さを考えたら、彼らのライブが一番エモかった。

 

 

 

 

2日目

 

①Shift Control

 3、4年ぶりにライブを観た。そのときは、Loqtoが企画した、マスロックバンドValerian Swingの来日ツアーの名古屋編の対バンアーティストの一組だった。

 その時からはギターとドラムが変わって、2020年に新譜をだしていた。その広告を観た時には「これはバズりそうだな」という感じだった。

 2日目の最初の演奏者だったが、すでに最前列は埋まっていた。完全に人気バンドになっていた。演奏も明らかにかっこよく、上手になっていた。当時生でライブを観た『In The Debris』しかセトリの曲はわからなかったけど、本当にあのときのバンドなんだろうか、というほどうまかったし、なによりたくさんの人が喜んで腕を挙げている景色が良かった。

 

②ナードマグネット

 観る前はかなり不安だった。というのは、Shift Controlに対して、最前列の待機者がかなり少なかったからだ。前日はosterreichの待機が多かったのも見たので、これは相当なアウェーかもしれないと感じた。

 そんなのは杞憂だった。入ってきていきなり「どうでもいいことだけど、ACID MANのシングルのDVDにちょっとだけ映ってる」という話で笑いを誘い、そのまま畳みかけてきた。めちゃくちゃカッコいい。軽く聞いたことはあったが「ポップなパンクバンド」くらいの認識でしかなかったのに、スーパーチャンクを生で浴びているような、直球のロックをくらった。メンタル強すぎる。演奏の実力が高すぎる。

 サポートのベーシスト以外、服装はかっこよくない。むしろダサい。そんな見た目から繰り出されてるのが自分の大好物な音だった。このギャップはずるい。

 『バッドレピュテーション』、『Mixtape』、『ぼくたちの失敗』が聞けた。いまだにあの光景と音が頭から離れない。

 二日間で観たアーティストの中では自分は一番「見てよかった」と思った。

 

LOSTAGE

 二日目の当日券を買うことにしたのは、LOSTAGEを初めて見る機会が欲しかったからだ。今回は6人体制。

 エモーシャル、というよりもしんみりとした演奏だった。アコギやコーラスや鍵盤が、それぞれ溶け合って、ウィルコを聞いているような気持ちになった。

 『Harvest』が聞けたのがハイライト。

 非常にマイペースに、ゆるりと演奏して去っていった。野外のようなもっと開放的な場所で聴きたいライブだった。

 

The Novembers

 自分にとっての〆として選んだ。リハからすでに『こわれる』を演奏。演奏する側、聴く側の双方の緊張感と高揚感がすごい空気だった。

 控えめに見ても、ダントツのベストアクトだった。セトリ、演奏、すべてが期待の十倍以上。

 

 1.鉄の夢

 2.理解者

 3.New York

 4.Down to Heaven

 5.Bad Dreams

 6.Halleluiah

 7.Rainbow

 

 セトリの強度がありえない。他のバンドみたいに、躍らせる音楽や、感情的にさせる音楽ではなかった。『混沌で聴衆を叩き潰す』というような気迫があった。各パートが轟音で耳を支配し、ビートが身体を支配する。終った時に40分経っていたのが信じられない演奏だった。

 

 

 

 

 

 

 雑であるが、ここに記憶の記録としてOOPARTSの感想を書いた。

 

 以上。