超個人的2020年ベストアルバム
今年も、超個人的な年間ベストをつくることにした。
昨年はDrab Majestyの「modern mirror」を個人的年間一位にして、それなりの反響があったのはうれしかった。(来日行きたかった・・・)
というわけで、今年も捻ったものが作れたらよかったが、今回はかなり普通なものになった気がする。『ああ、あれもあったね。良かったよね。』となってくれる人がいることが願う。
今回も、個人的に良かったものをトップ3として発表する。それではいこう。
第3位 Peel Dream Magazine 「Agitprop Alterna」
Peel Dream Magazineの「Agitprop Alterna」をApple Musicで
NYのバンドの2作目。前作「Modern Meta Physic」も自分の中では「裏・年間ベストアルバム」の一つだった(それは記事にはしてないが)
前作はポップさと雑多さがあって、幅広く楽しめる要素があった。
今年出たこのアルバムは、前作のポップさとバラエティは少し減退したが、そのかわり、ノイジーな要素をしっかり前に出し、全体的に陰のあるような統一感のあるものになってると思う。
リード曲「Pill」
『最初期のマイブラ』、『ステレオラブを彷彿とさせる』、といった声が続出した。自分も、これはステレオラブ的な、ノイズポップを見事に展開していると思う。
耳を支配するような轟音やフィードバックやノイズがあるわけではないけど、音量を上げて何度も聞きたくなる。非常に心地よいノイズ。
第2位 ELLIS 「Born Again」
ELLISの「Born Again」をApple Musicで
個人的に、2020年のベストシューゲイザー・ドリームポップはこれ。
今年も Succer Mummy、Hazel English、Phoebe Bridgers、Talyer Swift といった女性SSWの良作はたくさんあったと思うが、ELLISの「Born Again」はダントツだと思う。
仄暗くて、メランコリーで、バーストする瞬間もある。
収録曲① 「Pringle Creek」
収録曲② 「Embarrassing」 ※個人的にこのアルバムのフェイバリット
収録曲③ 「Saturn Return」 アルバムの後半にある目玉の曲だと思う
今の女性SSWは、優しさと甘みと明るさを持って、静かに曲を紡ぐようなものがとにかく多い。自分も大好きだが。
その中で、ELLISが持つ、このすこし冷めたような歌と、はっきりと盛り上がりどころのメリハリのあるメロディーは今年、異彩を放ったと思う。
聴けば聴くほど、奥にある甘みも感じられるし、そうなったところでシューゲイザー・ドリームポップ的な浮遊感がより輝いて聞こえてくる。
第1位発表前に、番外編として4枚紹介したい。
番外編① Bully 「SUGAREGG」
女性ボーカルのグランジバンド。安定と信頼のサブポップ産。
今年の女性ボーカルのオルタナといえば、Yumi Zouma と Beabadoobee が話題をさらったと思うが、これも是非押さえてほしい。もっと直球でロックしてるし、突撃感が素晴らしい。
番外編② Protomartyr 「Ultimate Success Today」
番外編③ Lithics 「Tower of Age」
番外編④ Choir boys 「Gathering Swans」
Protomartyrの「Ultimate Success Today」をApple Musicで
Lithicsの「Tower of Age」をApple Musicで
Choir Boyの「Gathering Swans」をApple Musicで
ポストパンク系のバンドを3枚。今年のポストパンクバンドといえば、Fontaines DC がとにかく人気で、話題だったが、自分はこの3枚を推したい。
Protomartyrはデトロイトのバンド。冷めきったクールなパンクを鳴らしてくれる。ノイズ感もあるし、チェロやアルトサックスもまぜた不穏な空気。これぞポストパンクだという音楽。WIREみたいな音楽が好きな人なら間違いなく好きになる。
Lithicsはポートランドのバンド。2年ほど前の来日ツアーはささやかながら、たくさんの人が「満足した」という声が上がった。当然自分も見に行った。そんなバンドの今年のアルバムも、今年のポストパンクを語るなら外せないだろう。相変わらず、骨と皮しかないような装飾ゼロのパンクロックをしてる。いつもどこまでも無機質なソリッドな音を届けてくれる期待に、今作も見事応えてくれた。
Choir Boyはソルトレークシティのバンド。ポストパンクというよりは、シンセを多用したポップに近いと思う。前作も良かったが、今作でよりメロディアスに柔らかく、そしてちょっと哀愁のある感じになった。彼らについては、普通に年間ベストに選ぶ人も多いと思う。押さえてないなら、ぜひ聞いたほうがいい。
というわけで、番外編が随分長くなってしまった。
では。1位。
第1位 weave 「The Sound II」
weaveの「The Sound Ⅱ」をApple Musicで
結局、上半期のぶっちぎりベストアルバム1位が、そのまま俺の中で年間でも1位でした。だって良すぎるんだもの・・・。
横須賀からのエモバンド。今作で初めて知ったが、久しぶりに出たアルバムらしい。
Penfoldの「Amateurs & Proffesionals」、Elliotの「False Cathedrals」を思わせるような、美しいアルペジオが響きながら、時にコードを感情的にかき鳴らす。直球すぎる美しすぎるエモアルバム。
今年の日本のエモのアルバムと言えば、これかClimb the mindの「蕾」だと思う。「蕾」についてはリリース元のstiffslackの猛プッシュもあるし、ずっと待たれてたものだと思うので、あくまで個人的に刺さったものということでこちらを1位にした。
けして、このアルバムがマニアックすぎるということはない。好きな人にはどこまでも深く刺さる、そんな純度の高いまっすぐな音楽だと思ってる。
すべての曲が、感情をわかりやすくグラグラと揺さぶってくる。
以上、個人的年間ベスト2020でした。