弾丸でサマソニに行った話

サマーソニック2019 大阪 最終日 8/18

 

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 もともと行く気はなかった。観たいアーティストはいっぱいあったけど、今年はヘッドライナーが豪華で、東京も早めにソールドアウトしてしまったみたいだし。あきらめてた。

 

 でも、今年もやってたフジロックの配信を見ながら思った。

 

 「生で見れる機会があるなら逃したら損だ」

 

 というわけで、フジロックの配信を見終わってから、すぐに大阪最終日のチケットを買った。弾丸で行くことを覚悟して。

 

 

 というわけで、二年連続、三回目のサマーソニック大阪への参加だった。

 

 主に観てきたアーティストの感想を簡単に書こうと思う。

 

① Psychedelic Porn Crumpets

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 オーストラリアからのサイケバンド。今年のソニックステージは非常に充実していたと思うが、早々にこのバンドがでてきてくれたのはよかった。

 実は一番最初に見たのはamazarashiだった。いいライブだったけど、あくまで自分の目当てというかスタートはこのバンドだった。

 amazarashiは一緒に見た後輩に連れられて、前よりの真ん中で立ちながら見ていたが、早々に疲れてしまった。

 そういうわけで、Psychedelic Porn Crumpets はアリーナの一番後ろから座って観ることにしていた。

 けれど、そうはいかなかった。生で聴くと音源よりずっとうるさくて、サイケで、シューゲイザーで、メタルで、ヘヴィ。結局2曲目が終わったら立ち上がってた。で、曲ごとにどんどん前に出てしまって、気が付いたらamazarashiを観ていた時よりも近くで飛び跳ねてライブを観てしまっていた。

 最近、轟音を浴びるライブによく行くせいもあって、本当に来てよかったと、この時にすでに思った。

 大阪って東京に比べたらずいぶん規模は小さいけど、その分いっぱいになりやすいしアーティストとの距離も近い。Psychedelic Porn Crumpets は大盛り上がりだった。間違いなく。彼らも初めての日本に満足してくれたみたいだった。

 これだ。初めて日本にくるアーティストを全力で楽しんで、いい気持ちで帰ってもらう。これがフェスの楽しみなんだ。毎回のサマソニで考えていることなんだけど、今年は弾丸と決めてきて、気持ちが強かったから、よけいに心にくるものがあった。

 オーストラリアといえば、フジロックで圧巻のパフォーマンスをしたハイエイタス・カイオーテとステラ・ドネリー、いわずもがなのテームインパラ、大阪はキャンセルになったが東京のベストアクトと名高いタッシュ・サルタナ、そしてレイドバックしたザ・スミスみたいな良質なインディロックを鳴らすヴァケイションズ。最近素晴らしいアーティストを輩出する国がオーストラリアであるが、そこに割って入る実力を存分に見ることができた素晴らしいライブだった。

 

② Sam Fender

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 楽しかったんだけど、周りが残念だったなあというのが正直な感想。Endricheriが終わってから、ソニックステージにいた人全員いなくなったんじゃないかってくらい人が少なかったし、残ってたのは次のPale Wavesが目当てなんだろうって人が前のほうに固まってるくらい。B'z地蔵問題がなんやかんや言われてたけど、個人的に一番ひどかったのはPale Waves地蔵だった。もうちょっと予習してきてほしかったよ、周りの人たち。

 まあ、そんな偉そうなことを言った自分も「Dead Boys」と8月にでた新譜をそれぞれ3周程度回しただけの浅い状態で観た人間なんだけど。Pale Wavesを前のほうで見るために予習したアーティストなんだけど。

 で、肝心のライブはというと、マジで自分以外だれが盛り上がってるんだよ、ってくらいだった。とりあえず自分には彼がかっこよくて美しく映ってた。

 ライブの後半になって、自分のすぐ横に酔っ払ったおじさんおばさん組が来た。その中のおばさん一人が「ほら、いいでしょ!?でしょ!?」って楽しそうだった。そのおばさんのすぐ横で「あ、これなら俺もはしゃいでいいな」って思えた。そういう時に丁度、新譜からのリードトラック『Hypersonic Missiles』をやってくれた。めちゃくちゃ歌った。飛び跳ねた。

 それが伝染したのかはわからないけど、その曲から一気にソニックステージの空気が変わった。おとなしかった周りも結構揺れたり腕をあげたりしてた。

 Sam Fender はライブの終わりに感謝の言葉ともう一曲といって演奏を僕らにプレゼントしてくれたけど、もっと僕らから与えられるもの(盛り上がりとか喜びの気持ちや表情、態度)があったんじゃないかな。いいライブだっただけに、そこが悔しい。

 

③ Pale Waves

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 俺にとっての今年のサマソニの大本命。2年連続の出演。去年サマソニで見て、冬の単独ツアーも初日の名古屋に見に行って、そして今回を迎えた。

 ほぼ最前列の真ん中に来ることができた。Sam Fender の時からいた地蔵が大半だったけど。

 前のほうにいるのはほぼ女子。去年のサマソニでは結構男性人気がある感じがしてたけど、その後アルバムをだして、単独の時と今回のサマソニとで、かなり女性人気がでた印象を受けた。ひょっとしたら今は女性のほうがファンが多いかもしれない。

 セットリストは単独で見た時とほとんど同じだった。『Eighteen』、『Television Romance』から始まっていく感じ。ただ、これまでよりもボーカルのヘザーのロックスター然とした姿がそこにはあった。キュートさとポップさを併せ持つクールなバンド、それが去年のPale Wavesだった。今回は違った。「跳べ」と言わんばかりに何度も人差し指を上に掲げた。マイクを持ってステージを歩き回りながら聞く者を煽る。

 だけど、マイクのコードに躓いたりとかもしてた。まだまだクールには振り切れてない感じが、若きロックスターの卵、って感じがしてよかった。

 Pale Waves のアルバム全歌詞の和訳をしたことがある自分にとっては、全曲でシンガロングすることなど容易だった。このアーティストの為に来たサマソニで、最高にノらせてくれるライブをしてくれたと思う。唯一の減点ポイントといえば、さっきも書いたけど、セトリがほとんど単独の時と同じだったことで、ライブを楽しみつつも、「つぎはあれだな」っていうのが何となく察することができてしまっている自分がいた。これについては自分のPale Waves への愛が強すぎるせいかもしれない。

 最後の最後はやっぱり『There is a honey』だった。そして、最後にヘザーはステージを降りて飛び込んできた。目が合った。はっきりと腕にふれた。「I love you, Heather!」って叫んでおいた。(あと、多分だけどPale Wavesを見てたひとの中でダントツでテンションが高かったのが俺だったんだ。それで、多分『Red』の時も目が合ったと思う。最高だったよ。)

 

 ④ Weezer

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 Pale Waves を観終わってからすぐに来た。最後に『Say it ain't so』だけでもやってくれたら観れるだろうと信じて。

 期待通りだった。『Hush Pipe』まで聞くことができたのはラッキーだった。最後の二曲だけしか見れなかったけど、バリバリにエモい演奏を楽しめた。正直、Pale Wavesじゃなくてこっちにしておけばよかったかもしれない、と思った。

 あと、初めてリヴァースの日本語を生できいたけど、結構上手だなと思った。

 MCの宣言通り、今年の紅白に出てほしいよ。

 

 ⑤ the 1975

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 翌日は仕事だから、MGMT か the 1975 を観て帰る、ということは決めてた。どちらを観るべきかは直前で迷ったけど、the 1975 なら全曲で泣き叫んでしまうくらい楽しめる自信があったので、こっちにした。

 予感は当たった。『Give yourself a try』、『TOOTIME』の冒頭2曲でもう涙がとまらなくなってた。『She's American』、『Sincerity is scary』、『It's not living』とキラーチューンを続けてやって、それだけでも大満足だった。

 タバコを吸いながらのMC、そこからの『I like America』。これがこの日の彼らの一番カッコいい瞬間だったんじゃないかな。

 もちろん例外はあるけれど、政治的な主張が強くなると、作品というのはなんだか薄っぺらく、つまらないものになりがち。というのが僕の感覚なんだけど、彼らも例外の一つであることをはっきりとこのライブで確信できた。

 最高のアンビエントナンバー『Somebody else』を挟んで、『I always wanna die』。『I always wanna die』の時、顔は涙と汗でぐちゃぐちゃだった。そんな状態でサビでシンガロングしてるもんだから、鏡が目の前にあったら我ながら粗相してただろう。

 さらに『Love it if we made it』からの、まさかの『chocolate』。現在と過去の名曲を聴くことができて感無量だったし、いかに数年で化け物じみた進化をしているのかを示していた。

 そして、『SEX』。最高に盛り上がる。そしてデカデカと映る「Rock n Roll Is Dead God Bless」の文字。これを観たくてthe 1975に来たのだ。もう死んでもいい、そう思えた。

 最後はやっぱり『The Sound』。

 ロックは死んだ、なんて言っておいて、跳べ、って煽る。ダブルスタンダードすぎる。そしてそれが許される圧倒的な楽曲と演奏。

 彼らが2010年代を代表するアーティストになり、来る2020年代のリーダーになっていくことに、だれが文句をいえようか。そんなことを思った。

 

 

 

 帰りは意外とすんなり帰れた。the 1975が終わった直後はB'zが見たい人と移動したい人でもみくちゃになって大変だったけど。全然バスも混んでなかった。意外と弾丸でサマソニって、サマソニの楽しみ方として正解なんじゃないかと思った、そんな今年だった。

 

 ただ、サマソニよ。バスの場所は毎回同じにしてくれ。去年は前売りでも当日でもオアシスから結構あるいたとこにあったぞ。頼むから場所は固定にしてくれ。

 

 

 来年はフジロックデビューします。本気で。