白く染まった(羊文学ライブレポート)

 ずいぶん久しぶりにブログを書く。仕事とか色々あった。それなりに忙しい日々を過ごしながらいろんなライブに行ってた。Vasudevaとか、Carb on Carbとか、CHINESE FOOTBALLとか。

 

 そんな中、奇跡的に残業がその日なくて、平日なのに観れたライブがあった。

 

8/2(金) 羊文学 @名古屋 CLUB UPSET

 

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 ワンマンライブだった。羊文学の新作EP「きらめき」のリリースツアーとして、東名阪をワンマンで巡るというツアー。その初日がなんと名古屋だった。

 

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今年の春にでた新作EP「きらめき」

 

 チケットは無くなる寸前で手に入れた。仕事を終えて、開場済のライブハウスについたら「SOLD OUT」の文字。「名古屋飛ばし」という言葉さえ存在するほど客が集まらないことで有名な、名古屋ではありえない文字に感動した。

 

 羊文学は、新作のEPが出るまでは全然聞いたことが無かった。以前、自分がライターとして所属していた「出前寿司RECORDS」で、他のメンバーがアルバム「若者たちへ」についてのアツい記事を書いていたから、バンドの存在は知ってた。

 

delivery-sushi-records.hatenablog.com

 

 新作「きらめき」のリリースを受けて、この記事を思い出して、自分は羊文学に興味を持った。「きらめき」と「若者たちへ」を聞いた。そしてこのライブをぜひ見ようと思っていた。本当に見れたのは奇跡にちかい。

 

 

 自分の経緯の話はこれでおしまい。またライブ当日の話に戻る。

 

 ソールドアウトしたというだけあって、ライブハウスは人だらけだった。客層は本当にいろんなひとがいた。明かにシューゲイザーが好きそうな雰囲気の若い男子、着飾った服装の女子、オルタナ好きがにじみ出ている中年くらいの人、とにかくたくさん。PALE WAVES が名古屋に来た時に見に行ったけど、その時を思い出すほどの人の入り具合と、聞きに来る客層の広さを感じた。

 

 19:00開場、19:30開演という予定通り、19:30ほぼ丁度に羊文学はステージに現れた。

 新作EPのレコ発ツアーだから、新曲を中心に演奏すると思っていた。けれどそうではなかった。

 

 1.「春」

 2.「あたらしいわたし」

 3.「絵日記」

 

 冒頭の三曲で新作から初期のEPまでの曲を演奏した。

 「これはただのレコ発じゃなくて、シンプルに持ち曲をガンガンやるタイプのライブだ」と確信した。演奏を観ながらどんどんテンションが上がっていった。(ワンマンライブだからそういうスタイルのライブになるのは当たり前なんだが)

 

 続けて

 4.「ロマンス」

 5.「ドラマ」

 6.「うねり」

 

 「うねり」の後にいったんMC。歌ってる時の声量が信じられないくらい、ボーカルの塩塚モエカは静かにゆっくりと話した。

 名古屋という場所で羊文学を見に来た人がこれほどいるとは、という驚きを話していたが、自分も同じ気持ちだった。

 名古屋に来るのはこれが3回目くらいで、2019年は初ということだった。貴重な機会であることがあらためて分かって嬉しかったけど、もっと名古屋に来てほしい。

 あと、水分補給を強く推奨してきた。「お酒では水分をとったことにならないらしい」ということで「水を飲んで水を」と念押ししてきた。(この日、この後のMCで毎回言ってた)

 

 水分補給の話をしたところで「そんな夏の日の曲」と言ってまた演奏が始まった。

 

 7.「夏のよう」

 8.「踊らない」

 9.(新曲)

 10.「若者たち」

 

 新譜「きらめき」にも収録されていない新曲を挟みつつ、過去作を中心に演奏していった。「夏のよう」、「若者たち」で浴びた轟音に心底感動した。ぜひライブで聴きたかった曲だったから。

 

 またMCを挟んだ。正直自分としては「若者たち」が演奏されたときに「終わっちゃうのかな」と思ってた。それくらいクライマックスらしい迫力だったから。

 しかし衝撃の言葉が飛び出した。「終わる感じだけど、まだ半分なんですよ」

 

 11.「ブレーメン

 12.「ミルク」

 13.「ソーダ水」

 14.「コーリング」

 

 「ミルク」が新譜の中では一番好きな曲。羊文学もこの曲は好きなのか、演奏した後にコメントをしてくれてなんだか嬉しかった。「コーリング」も良かった。三人で向き合ってブレイクして、飛んで跳ねて弾く、若々しさにあふれていた。

 

 15.「祈り」

 16.「Step」

 17.「優しさについて」

 

 新譜の最後の曲「優しさについて」でライブ終了。

 当然アンコールはあった。

 出てきてまずは物販の紹介だった。「くるりかよ」って心の中でツッコミを入れた。

 白を基調として、花の刺繍の入ったカバンとか、ハンカチとか、言い方は昨今ではあれだけど「女の子らしい」ものが多かった。一応はガールズバンドに括られることがあるバンドなんだっけ、と思いだした。そりゃ女子から人気でるよね。(実際、観に来た人の半分くらいは若い女性だった)

 

 そしてアンコール

 

 1.ペイヴメントのカバー

 2.1999

 3.天気予報

 

 ペイヴメントはあまり詳しくないから曲はわからない(「Spit on a stranger」の気がする)。「発音は・・・」って塩塚モエカは笑ってた。ちょっとカタカナ英語だったけど、それくらいのほうがローファイな感じがしたし、全体としてかっこよかったから気になるものではなかった。

 「季節外れのクリスマスソングだけど」って言ってやってくれた「1999」。〆の「天気予報」。他の曲でもコーラスが素晴らしかったけど、アンコールで聴くと全然感動が違った。最後まで、光に包まれて吹き飛ばされるようなライブだった。

 

 

 と思ったらまさかのアンコール2。

 

 「生活」

 

 CDなど音源でのリリースはない、ずっと前からの曲。最後の最後の最後をこういう曲で〆る新しいあたりが面白い。「エンディング」はライブでやってくれなかったけど、こういう演出がもう「エンディング」を演奏する代わりになった気がした。

 

 

 

 

 そんなわけで、羊文学のライブは終った。

 

 ライブ後、サインをもらうことができた。途中で並びなおして自分が最後尾。

 ゆっくりして待って、メンバー全員からサインがもらえた。

 さっき載せた羊文学の「若者たちへ」のレビューを書いた人と、塩塚モエカが知り合いらしかったので、その話もできたりして、贅沢だった。

 あと、間近でみると全員めちゃくちゃ若い。多分みんな年下。なんか負けた気しかしなかった(一般人の分際で何を思ってんだろ)けど、まだまだこのバンドが見れる機会がありそうだってことがうれしかった。

 

 

 

 最近、シューゲイザーバンドとか轟音系ポストロックバンドとか、とにかく音がデカいライブに行くことが多かった。

 羊文学もかなりの音のデカさのライブだったけど、体感は他のライブとは違った。

 最近観たライブは、飲まれていく、吸い込まれていく、そういう轟音だった。(それも大好きだ)

 羊文学のライブの轟音は「吹き飛ばされる」とか「まぶしい」って表現が似合いそう。アニメとかで神様がものすごい光を放って全部の悪者とか闇を浄化したり消し去ったりするみたいに。仕事終わりで疲れてライブを観に行ったのに、終わってみれば疲れがとれた(ような気がした)。

 

 

 

 まさにあの日、あの場所の世界は『白く染まる夕方』だった(厳密には夜なんだけど)。

 

 

 

 

 

 ちなみにツアーファイナルの東京(8/7)で、今年さらに新作がでること、2020年のツアーが発表された。

 ぜひ来年も名古屋で。今度は土日がいい。東京優遇はやめてほしい。せめて大阪で土日のどっちか。